平安時代の装束文様を明らかにすることはなかなか難しいことです。
当時の装束の実物が残っていませんから、本当のところはわかりません。そこで絵巻物に描かれた文様を再現することで、当時の文様を探ってみたいと思います。
しかし、平安時代を描いた絵巻物も、実際は平安末期や鎌倉時代、室町時代に描かれたものがほとんどです。ですから平安時代と言うよりも、絵巻物が描かれた時代の文様、ということは理解しておく必要があります。また、絵ですから実物よりも簡略化されていたりデフォルメされている可能性もありますが、イメージはつかめるでしょう。
海松の丸 | 松皮菱 | 菱 | 武士の水干 | |
三つ葉 | 楓の葉 | 梶の葉 | 巴 | 松皮菱襷 |
さまざまな縞模様 | 藍染模様 | 二重の十字型 |
色については出来るだけ絵巻に表現されている色を用いましたが、退色・変色が激しく、あまり色味はありません。当時の庶民は藍染めを主流としたあまり彩りのない衣服しか身につけられなかったのでしょう。文様は後染めのものが多いことが文様からもわかります。菱文様が多いのは、比較的容易に織り文様をつけることのできるパターンだからです。なかなかモダンな文様が多いことに驚かされます。
生地はすべて麻ですので、地質をそのイメージにしてみました。