大宝元(701)年に成立した「大宝律令」は、その後も撰修が進められ、天平宝字元(757)年、語句や表現、増補がなされたものが施行されました。これが「養老律令」です。全10巻30篇。
「養老律令」そのものは散逸して現存しませんが、律令の注釈書として平安前期に編纂された『令義解』や『令集解』に倉庫令、医疾令を除く全ての令が収録されているため、復元が可能です。倉庫令、医疾令についても他文献からほぼ復元されています。
国法としては明治維新まで有効という位置付けで、世界で最も長期間使用された法令です。
巻 | 篇 | よみ(○りょう) | 条数 | 内 容 |
第一 | 官位令 | かんい | 19 | 位階と官職の相当。 |
第二 | 職員令 | しきいん | 80 | 各官司の職員名称とその定員、職掌。 |
後宮職員令 | ごくうしきいん | 18 | 后妃、女官の職員名称とその定員、職掌。 | |
東宮職員令 | とうぐうしきいん | 11 | 皇太子家政組織の職員名称とその定員、職掌。 | |
家令職員令 | けりょうしきいん | 8 | 親王、三位以上の家政組織の職員名称とその定員、職掌。 | |
第三 | 神祇令 | じんぎ | 20 | 国家的祭祀の基本的条項。 |
僧尼令 | そうに | 27 | 僧尼を管理するための各種の規制や罰則。 | |
第四 | 戸令 | こ | 45 | 戸籍管理、民事的秩序、郡以下の行政等。 |
田令 | でん | 37 | 田地、土地取引に関わる事項、職分田の規定。 | |
賦役令 | ぶやく | 39 | 調・庸などの税品目、賦課基準や徴収事務関連。 | |
学令 | がく | 22 | 大学・国学の教職員、学生に関する事項。 | |
第五 | 選叙令 | せんじょ | 38 | 各官位に関する叙位・任用基準。 |
継嗣令 | けいし | 4 | 皇族の身分種別、婚姻。五位以上の継嗣手続。 | |
考課令 | こうか | 75 | 職員登用試験、人事考課規則。 | |
禄令 | ろく | 15 | 職員に対する俸禄と、その支給規則。 | |
第六 | 宮衛令 | くえい | 28 | 宮城諸門の警衛、行幸警固の方法等。 |
軍防令 | ぐんぼう | 76 | 軍団職員、職掌、叙勲、その他兵制全般について。 | |
第七 | 儀制令 | ぎせい | 26 | 朝儀等における礼法、親族範囲の規定。 |
衣服令 | えぶく | 14 | 礼服・朝服・制服等、朝廷に勤務する者の衣服規定。 | |
営繕令 | ようぜん | 17 | 土木・建築工事、船舶・器物の製作・修繕等。 | |
第八 | 公式令 | くしき | 89 | 公文書の書式、事務管理、職員の服務規定、訴訟手続等。 |
第九 | 倉庫令 | そうこ | 16 | 倉庫管理・出納、不正行為の罰則等。 (復元中) |
厩牧令 | くもく | 28 | 牛馬廐舎・牧場の管理運営、駅馬の設置・運営等。 | |
医疾令 | いしつ | 26 | 医薬に関わる事項全般について。(復元中) | |
仮寧令 | けにょう | 13 | 職員の事由別休暇日数に関する事項。 | |
喪葬令 | そうそう | 17 | 陵墓・葬儀、服喪日数等に関する規定。 | |
第十 | 関市令 | げんし | 20 | 関・市の管理運営、貿易等。 |
捕亡令 | ぶもう | 15 | 犯罪者の追捕、拾得物に関する規定。 | |
獄令 | ごく | 63 | 裁判や科刑の方法、断獄手続等の規定。 | |
雑令 | ぞう | 41 | その他、各篇に関連する事項。 |