HOME>装束の知識と着方>着方の基礎知識>女袴紐のむすび方
女袴にはさまざまなものがあります。本格的な長袴である「張袴」、巫女さんが用いている男性と同じ「差袴」、
そして明治以降の礼装として用いられた「袿袴」に用いられる「切袴」などです。
それぞれ着方が異なりますが、ここでは「袿袴の切袴」を例にして紐の結び方をご説明します。
男性用差袴や指貫と異なり、女袴の紐は前後ろ2本でなく、1本の長い紐を横U字形にまわしたものです。
しかし説明では便宜上、前部分にある紐を「前紐」、後部分にある紐を「後紐」と呼ぶこととします。
前紐のみ体を1周させるため、その分前紐が後紐よりも長くなっているのが特徴です。
紐は左腰部分が輪になっていますから、結ぶのは右腰です。
左腰は輪なので、紐が 延びるのは右腰です |
後紐を保持しつつ、 前紐を袴の後ろ身の 下(中)に通します |
袴の後ろ身を通った前紐 を左腰の「ももだち」から 前に引き出します |
引き出した前紐は右腰で 後紐と交差させます 後紐が上になります |
後紐を前紐の下に通して 上に引き出します |
上下に強く引き、 いわゆる単結びをします |
左手で保持した前紐を 上方向に輪にします |
後紐を上から 輪にかぶせます |
片わなに結び、強く引きます 蝶結びではありません |
結び目を整え、輪の頂点が 体の中心に来るように 美しく揃えます。完成 |
美しく仕上げるためには、片わなに結んだ後、残り紐の長さが同じであることが求められます。
しかし前紐のみ体を1周し、後紐は結ぶだけという違いがありますから、胴の太さによって前後紐の残り分量は
異なってきてしまいます。本来は個人の体型に応じて紐の長さは誂えられるべきなのです。
ここでは文献に基づく戦前の宮中女官の寸法で調進された袴を使用しています。輪の作り方で多少の調整は可能です。