当サイトは、いかなる宗教とも無縁ですが、制度の説明をする上で、どうしても触れなければならない用語などがあります。
そこで、装束に最も近い立場にある神社の神職に関する豆知識をご紹介します。
管理人は神社と無関係ですので、理解不足言葉足らずの部分が多いと思いますが、そのあたりはご容赦下さい。
〜神社本庁の包括する神社の神職〜
神職数
全国で約21500名。そのうち宮司は約11000名です。
神社本庁の統計によると、女子神職は年々増加し、平成9年には10.2%。階位検定合格者1183人のうち女性は279人、実に23.6%を占めたそうです。
神職には上下のランク付けが3つあります。それは学識の指標である「階位」、経験功績を反映した「身分」、そして神社内の役職である「職称」です。「階位」は神職になるための基礎資格であり、「身分」は神職となった者に与えられるものです。
神職階位
上位から、浄階・明階・正階・権正階・直階の5等階あります。神職としての学識によって神社本庁の階位検定委員会の選考を経て与えられるものです。神職身分や養成課程については、神社本庁でさまざまな見直しが検討されています。数年後には日本の人口が減少に転じるという「イザナギ以来の国難」を前に、神社界でもさまざまな取り組み戦略があるようです。
階位の名称は天武天皇が定めた「明・浄・正・直・勤・務・追・進」の位階用語を用いていますが、神道の大切にする「浄(きよ)く明るく正しく直(すぐ)き心」を表している呼称であることは間違いありません。
神職養成機関は、まず高等課程(大学)として國學院大學、皇學館大學があり、所定の課程を修了すると卒業時に正階が授与され、その後、2年間の神社奉仕と各種研修を経て、明階が授与されます(以前は卒業時に明階が授与されていました)。 直階・権正階・正階 については上記2大学のほか、全国いくつかの神職養成機関 (高等課程に対する普通課程)での講習会受講で授与されるケースがあります。この研修は非常に厳しいもので、実施の目的も「祠職・家職を緊急に引き継ぐ必要がある」(つまり急に実家の神社の跡を継ぐ必要が生じた等)の者に資格を授与するため となっています。ですから一般人が「教養のため」とか「資格を取ってみたい」という気分で受講することは許されていません。その他、検定試験という道もあります。
神社界では、現実的には階位よりもこちらが重視されています。装束の区別もこの身分をもとに行われます。
特級・一級・二級上・二級・三級・四級の6等級あります。
経歴・人格や神道・神社に関する功績(年功序列と考えれば判りやすいでしょう)によって神社本庁の身分選考委員会で決定されます。普通は二級上(赤袍)までの神職が多く、特級・一級(黒袍)は少数です。特級神職は全国でも100名にも満たない数です。
◇具体的な身分
特級=神社本庁統理、神宮の大宮司及び表彰規程第二条第二号の表彰を受けた者
一級=神宮小宮司、表彰規程第二条第一号の表彰を受けた者及び浄階で身分選考委員会を経た者
二級上=神宮禰宜、別表神社の宮司・権宮司及び二級神職で身分選考委員会の選考を経た者
二級=神宮禰宜、別表神社の宮司・権宮司及び三級神職で身分選考委員会の選考を経た者
三級=神宮権禰宜又は宮掌及び権正階以上の階位を有する者
四級=その他の神職
特級の統理と神宮大宮司、二級の神宮禰宜と別表神社の宮司・権宮司は「属職身分」とされ、その職を退けばその職に就く前の身分に降ることになります(例外あり)。特級・一級は原則として浄階、二級上・二級は正階以上を有する者でなければ任命・選考の対象となりません。特級の身分を有し最高の功績状を授与された者には、特に「長老」の敬称を贈られることがあります。
権正階以上の階位で神社に初めて奉職する場合はまず三級の身分となります。
平成16年3月現在、神社本庁に所属する神社の神職数は21,542名の身分の内訳は、以下の通りです。
身分 | 男子 | 女子 | 合計 |
特級 | 90 | 1 | 91 |
一級 | 243 | 0 | 243 |
二級上 | 2,044 | 22 | 2,066 |
二級 | 4,392 | 187 | 4,579 |
三・四級 | 12,178 | 2,385 | 14,563 |
合計 | 18,947 | 2,595 | 21,542 |
神社内での役職職位です。
神社の規模と由緒によってさまざまですが、一般的に、宮司(ぐうじ)・権宮司(ごんぐうじ)・禰宜(ねぎ)・権禰宜(ごんねぎ)等があります。この下に見習いである出仕がいる場合もあります。宮司・権宮司・禰宜は1社1名が原則で、また「権宮司」は別表神社のうち特に統理の承認を受けた神社にのみ置くことができるものとされます。
このほか、大規模な神社では、正式な神職とは見なされない職員(雇員)としての宮掌、主典、典仕などや、見習いである出仕があり、さらにその前に実習生である「出仕前」という呼称が用いられる場合もあります。宮掌および主典は、かつて伊勢神宮
や官国幣社で祭祀や社務に従事をしていた職名を踏襲しています。また、この他に楽師である「伶人(れいじん」、事務をつかさどる「職員」など、たくさんの所属職員
がいる大きな神社もあります。装束としては、宮掌および主典は松葉色(濃緑)、出仕および出仕前は木綿の白袴を着用することが多いですが、本来の神職ではないので明確な定めがなく、各神社が適宜対応しているようです。
巫女は神職ではなく資格も不要です。伊勢神宮では「舞女(ぶじょ・まいひめ)」と呼ぶなど、神社によって巫女の扱いは異なります。巫女の袴は緋色がほとんどですが、未婚者の色である「濃色」を用いている神社もあります。
宮司は階位権正階以上、宗教法人の責任役員の同意に基づき、神社本庁より任命されます。
各職位の階位別任命基準
宮司 | 権宮司 | 禰宜 | 権禰宜 | |
別表神社 | 明階以上 | 正階以上 | 権正階以上 | |
一般神社 | 権正階以上 | なし | 直階以上 |
神社本庁は、伊勢の神宮を本宗(ほんそう)と仰ぐ全国の神社を包括する宗教法人です。通常「神社」と言えば、本庁傘下の神社がほとんどです。当サイトで服制も本庁の規程を掲載しました。
しかし神道の宗教でも本庁に属さない神社があります。神社本庁に所属していない神社の代表例が伏見稲荷大社、靖国神社、日光東照宮などの単立宗教法人です。
教派神道は
復古神道系の神道大教、神理教、出雲大社教。
儒教的な神道修成派、神道大成教。
民間神道系の禊教、神習教。
山岳信仰系の扶桑教、実行教、御嶽教。
独自の教義に基づく金光教、天理教、黒住教
などです。
これらの教派神道では、本庁の定めにはない独自な装束を用いていることもます。
法人格を有するもので神社本庁包括下の神社は、全国に約80000社あります。
平安時代(927年)の法令マニュアル『延喜式
』の「神名帳」には3132座の神々が載せられており、伊勢神宮を頂点として官幣社(名神大社・大社・小社)、国幣社(大社・小社)の社格に区分されていました。官幣社には神祇官から、国幣社には国司から幣帛が奉られました。
社格は明治時代に入り復興され、明治四(1871)年の太政官布告により官社(官幣・国幣)と諸社(その他)に区分されました。この布告によって全国の神社は、官幣大社・官幣中社・官幣小社・別格官幣社、国幣大社・国幣中社・国幣小社、さらに府社、郷社、村社、無格社
に類別されました。
官幣社は天皇・皇族、功臣が祭られているとして、皇室より幣帛が奉られました。
国幣社は国土経営に功績のあった祭神が祭られているとして、国庫から幣帛が奉られました。
(数は現在もある神社数です)
府社、郷社、村社は、それぞれの属する府県市町村から幣帛を供進されていた神社です。
無格社は、上記以外の神社です。
大社・中社・小社 の区分については、明確な基準ではなく、沿革・由緒、社殿規模などで区分されていました。
なお、伊勢の皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)は、特別に神宮という社格名を称し、以上の区分の分類外となっていました。
昭和20(1945)年、GHQの「神道指令」によりこの社格制度は廃止となりました。神社の石標で社格がセメントで埋められている光景を見かけます。
しかし神社の歴史と由緒を考えていく上で、ひとつの参考となるとは言えるでしょう。
なお、これら以外の社格のようなものとしては・・・
社号および歴史的由緒に基づく分類など
などがあります。
なお、ふつう「○○神社」と呼ばれますが、「○○」の部分が「社名」で、「神宮、宮、神社、社」等が「社号」です。